キスから始まる方程式


この子達、確か以前私をひっぱたこうとした、桐生君のファンクラブの子達じゃ……。



私の脳裏に、苦い記憶が蘇る。


できることなら、もう二度と顔を合わせたくなかったのだが……。



「あれ? あなた……確かこの前冬真にぶつかってきた……」



早くも女の子達に気付かれてしまい、気まずい空気が辺りを漂う。



「なんで冬真と一緒にいるの……?」

「えっと……これは、その……」

「まさか、冬真の彼女って……」



痛いくらいに刺々しい視線を向けられ、気の利いた言い訳が出てこない。


そんな張り詰めた空気をとかすように、突然桐生君が私の腰を抱き寄せた。

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