キスから始まる方程式


半年前・夏 ――



「あっつ~い!」

「あぁ……。日干しになりそうだぜ……」



まだ真夏になる前の七月初めだというのに、ギラギラとした太陽が容赦なくアスファルトを照りつけている。


そんな中ようやく期末テスト一日目を終えた私と翔は、エアコンの待つ自宅へと先を急いでいた。



「んもう……なんでこんな暑い日にまでテストやんのよ~……。
こんなに暑くちゃ勉強だってはかどらないし、いい点なんて取れるわけないっつ~の」

「だよな~……。もう何もしたくね~もんなぁ」



屁理屈ともいえる自論をこぼしながら、額から滝のように噴き出る汗をハンカチで拭いつつひたすら歩き続ける。


片道たった15分ほどの道のりが猛烈な暑さのせいか、今日はその二倍にも三倍にも長く感じられた。
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