キスから始まる方程式
「俺達もう、なんも考えなくてもよかったガキの頃とは違う。
だからこれ以上……互いのためにも俺に近付くな……」
「翔……っ」
それだけ言い終えて、俯きながら私の横を通り過ぎて行く翔。
結局翔は、最後まで私と視線を合わせることはなかった。
私達、もう昔みたいには戻れないの……?
幼なじみとしても、翔のそばにいられないの……!?
激しい憤りから、ガクガクと膝が震える。
私のもとからどんどん遠く離れて小さくなってゆく翔の足音にどうにも耐えられなくて、そのまま大声をあげ翔のほうを振り返った。
「翔っ、 待って! 待ってよ!!……翔っ……!」
私の声だけが虚しく夜空に響き渡る。
しかし翔は私を一度も振り返ることなく、暗闇の彼方へと消えて行ったのだった……。