キスから始まる方程式
「俺さ……今日、告白されたんだ……」
「っ!?」
告白……!?
予想外の発言に、その場で凍りつく私。
頭が真っ白になって、返す言葉が出てこない。
「……七瀬? 七瀬、聞いてるか?」
「えっ……? あ、ご、ごめん、聞いてるよ……」
微動だにしない私を見て、心配そうに声を掛けてくる翔。
そんな翔の声で我に返った私は、精一杯平静を装いつつもわずかに震える声で聞き返した。
「告白って……だ、誰から?」
「……」
なんだか言いにくそうに一瞬黙り込む翔。
すぐに言えない相手って誰だろう?
まさか私の親友の麻優 (まゆ) なわけないだろうし……。
考えてみると、翔が私に誰かから告白されたなんて相談してくるのは初めてだった。
翔だってべつに、今まで全然モテなかったわけじゃない。
昔から爽やか系少年として、そこそこ人気はあったはずだ。
実際、同級生の女の子達からも、翔と幼なじみで羨ましいと何度言われたことか……。
それでも今まで、翔の口から恋愛の話が出たことなど一度もなかったのに。
それほど今回の相手は翔にとって特別なのだろうか?
ひとり悶々と思い悩んでいると、翔がおもむろに口を開いた。