キスから始まる方程式


「七瀬~。もしかして桐生君と何かいいことあった~?」

「っ! えっ!? べ、べつに何もないよ!?」

「え~? 本当かな~?」

「うん! 本当本当、120パーセント本当っ」

「……その割には七瀬、顔真っ赤だよ?」

「っ!」



相変わらず容赦のない麻優の突っ込みに、言葉を詰まらせる私。



やばい! こ~ゆ~時の麻優の鋭さってばハンパないんだった!



「あはは~……。えっとその……私、人待たせてるから……お先ぃ~っ!」

「え? あっ、ちょっと、七瀬~っ!」



いくら親友といえど、あんなに恥ずかしいことをそう簡単にペラペラと話せるものではない。



ごめん、麻優! いつかきっと話すからね。



そう心の中で麻優に謝ると、急いで鞄を肩にかけ逃げるようにして部室をあとにした。
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