キスから始まる方程式


そういえばお母さん、桐生君にすっごく会いたがってたもんなぁ。


まぁだから、わざわざ今日が休みになるよう仕事のシフトを組んだみたいだけど……。



学生は春休み真っ只中だが、社会人にとってはもちろんそんなものは全く関係がなく、世間からしてみれば今日は普通の平日である。


幸いなことにそのおかげで、土・日休みのお父さんは今日もいつも通り会社に行っているためもちろん家にはいない。


私が一人娘なこともあり、かなりの溺愛っぷりな面があるお父さんのことだ。


その娘に彼氏ができたなどと知れた日には、きっとあまりのショックに卒倒してしまうだろう。


まぁそんなことも全て考慮したうえで、わざわざ平日である今日を選んだのだけれど……。



「初めまして、桐生冬真と申します。七瀬さんにはいつもお世話になっております」

「あらあら、こちらこそいつも娘がお世話になっております~。七瀬の母です~」



うっわ……、かっこいいっ……!



いつもと違う紳士的な口調と爽やかな笑顔で、桐生君がお母さんに改めて挨拶をする。


どこからどう見てもこれ以上ないくらいの好青年っぷりに、目がハートマークになっているお母さん同様、私までおもわずクラクラとしてしまった。

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