キスから始まる方程式


「だっせーな俺……。アイツに妬いてんの、俺のほうじゃん……」

「え? “アイツ”……?」



弱々しい声で呟いた桐生君の言葉に、先程の教室での出来事が思い浮かんだ。



アイツって…………やっぱり……翔のこと?



「ねぇ桐生君。私、翔のことはもう……」

「ん……。わかってる。
……わかってるし、最初っから長期戦覚悟してたってのに、さっきのお前ら見てたら……なんか急に焦っちまった……」



長期戦?


焦り?



桐生君の言っている意味がよくわからない。


私と翔が仲良くしていたのなら嫉妬するのも頷けるけど、あれだけあからさまに私を避けている翔にどうしてヤキモチなど妬くのだろう?


長期戦どころか、超短期決戦でとっくに私と翔の仲は決着……いや、崩壊しているというのに……。


男と女とでは、根本的に嫉妬の引き金が違うということなのだろうか……?



グルグルと色々頭の中で考えを巡らせたのだが、やはり一向にわからない。



難しいことはよくわかんないけど、まさか桐生君がヤキモチ妬いてくれるなんて思わなかったな……。



途中で諦めて考えるのをやめた私は、片方の手を桐生君の頭の上に乗せ、そのままナデナデと撫でまわした。
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