キスから始まる方程式
しかしながら犯人も心得たもので、絶対に直接接触してきたり、悪事を働いている現場を私に見つかるようなヘマはしない。
犯人の目星はついているのだが、何の証拠もない以上その人達を責めるわけにもいかず、そこがまたなんとも歯がゆかった。
どうにも消化できない苛立ちから、髪をすくい上げくしゃくしゃと掻き乱す。
ぐぁ~っ……。まだるっこしいなぁ!
私が恨まれる理由なんて、ほぼ間違いなく桐生君関連に決まってるのにぃ……。
そう思った瞬間、突然背中をポンッと叩かれた。
「七瀬おはよっ」
「っ!!」
驚きのあまり、思わずビクンと跳ねる私の体。
「ん? どしたの?」
「へっ!? あ、あはは、何でもないよ?」
振り向いた私の瞳に映ったのは、きょとんとしながら私を見上げる親友の麻優だった。