キスから始まる方程式
あ、危なかった~!
慌てて手の中の紙片をクシャリと握りしめ、強引にポケットへ突っ込む。
心配をかけたくなくて誰にも話さず内緒にしているため、たとえ親友の麻優といえどこれを見られるわけにはいかなかった。
「……? 七瀬、やっぱなんか変」
「えっ? そ、そうかな? いつもと変わんないと思うけど……。ってことは、私はいつも変ってことなのかなぁ?」
アハハ、と笑顔を取り繕いながらおかしな冗談など言ってみる。
そんな私を疑いの眼差しでジッと見つめる麻優。
うっ……! 私、麻優のこの視線に弱いんだよね……。
「え~っと、ほらほら! さっさと教室行かないと、間に合わなくなっちゃうよ?」
「えっ? あ、ちょっと七瀬!」
追求から逃れるように、クルリと麻優の背後に回り込む。
まだ何か言いたげな麻優にはかまわずそのまま背中を押すと、強引に教室へ向けて歩き始めた。