キスから始まる方程式
あ~あ。せっかく今まで窓際最後尾でいっちばんいい席だったのになぁ……。
新しいクラスになってから一ヶ月。
今までは、名字のあいうえお順に基づいた出席番号順の並びで席が決まっていた。
名字が“ゆ”から始まる私はクラスで一番最後の番号なため、必然的に窓際最後尾をゲットできていたのだけれど……。
さすがに今度はそううまくいかないよね。昔っからくじ運悪いし。
「七瀬~、せっかく隣の席だったのに、きっともう離れちゃうよね……」
「だよね……。隣はダメでも、せめて前後の席になりたいよ~っ」
「こうなったら、運を天に任せるしかないよね!」
「うんっ、頑張ろうね麻優」
寂しそうな麻優と互いに励まし合いながら、緊張の面持ちで運命のくじ引きの順番を待つ。
運命なんて言葉を使うと大袈裟に聞こえるかもしれないが、学生にとってこの“プチイベント”……つまり“席替え”は、ものすごく重要な行事なのである。
なんといってもこの席替えの結果しだいで、日々の楽しさが半減もしくは倍増するのだから。
特に同じクラスに好きな子がいると、“席替え=運命の分かれ道”と言っても過言ではないくらい重要度が増すものなのだ。