キスから始まる方程式


…………。



半ば呆れ顔で桐生君を見上げる私。



「桐生君。そ~ゆ~のを世間では“ズル”って言うんだよ?」

「ん? ……知恵者って呼んでくれ」

「んもうっ……!」



ニシシっと子供みたいな可愛い笑顔を向けてくる桐生君。



うっ……桐生君てば……。こんな時にそんな可愛い笑顔、反則だからっ。



赤く火照っている顔を見られるのが恥ずかしくて、慌てて顔を前へと向ける。



でもでも……クラス替えの時もそうだったけど、そこまでして隣の席になろうとしてくれるなんて……なんかめちゃくちゃ嬉しいかも……。



桐生君からすっごく愛されてるって……自惚れちゃっても……いいのかな?



ポッポする頬を両手のひらで挟みながら、なんだかまた無性に桐生君の顔が見たくなって、いつの間にか静かになった隣をチラリと盗み見る。



「っ!」



すると机に右肘を乗せ頬杖をつきながら、私のことをすっごく幸せそうな優しい顔で見つめている桐生君と、おもいきり目が合ってしまった。

< 279 / 535 >

この作品をシェア

pagetop