キスから始まる方程式
重い空気の私達とは違い、相変わらず工藤さんの周りはキャラキャラと華やいでいる。
「工藤さん、よかったら今日うちらとお昼食べない?」
ひとりの女子生徒がそう工藤さんに提案した時、工藤さんから思いもよらない言葉が飛び出した。
「悪いけど私、誰ともつるむ気ないから」
「えっ?」
工藤さんの冷たい一言に、あれ程賑やかだった生徒達が一斉に凍りつく。
「そういうことだから、もう話しかけないでくれる?」
「なっ!?」
顔はニッコリ笑っているのに、目元だけはおもわず怯んでしまうほど鋭くて冷たい。
「じゃっ」
「えっ、ちょっと、待ちなさいよ!」
女子生徒達の制止の声を涼しい顔で無視し、スッと立ち上がる工藤さん。
な、なんか、急に険悪ムードになっちゃってるけど大丈夫なのかな……。
他人事のようにぼんやり眺めていたのだが、工藤さんの上に超が付くほど高飛車な態度に驚き、おもわず彼女達のやりとりを凝視してしまう私。
そんな工藤さんがクルリと踵を返して、突然こちらに近付いてきた。