魔女の瞳
最終章

だからこの夢は嫌だったんだ。

はじまりがあれば、終わりがある。

そしてこの夢の終わりが最悪なものなのは、誰より私が知っている。

この夢は私の過去。

数百年前に私が経験した、紛れもない事実なんだから…。






「メグさぁん、夕食できましたよー」

キッチンの方でエリスの呼ぶ声がする。

「うん、今行く~」

私は二階から下りていった。

さっきからいい匂いが漂っていた。

今日はエリス得意のキノコのシチューらしい。

ここ数日寒い日が続いている。

あったかい料理が食べたいと思っていた所だ。

…食卓には既に料理が並べられていた。

相変わらずエリスの手際はいい。

「今日は豪華だねえ」

私が席に着きながら言うと、エリスは嬉しそうに笑った。

「おかわりいっぱいありますから、たくさん食べてくださいね」

…エリスと二人向かい合わせに座って、美味しい料理に舌鼓を打った。

思えば、これが彼女と過ごした最後の晩餐。

幸せな時間の、最後の思い出だった。


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