魔女の瞳
ところが。

次の瞬間、男達は信じられない事を言い出した。

「その娘も連れて行け」

指差されたのはエリスだった。

「な!?」

私は驚愕する。

「ち、ちょっと待ちなさいよ!エリスは魔女じゃないわ!人間よ!!」

そう言う私に。

「それがどうした」

男の一人が、これまた信じられない返答を返した。

「人間だろうと何だろうと、我々が魔女の判断を下したら魔女なのだ」

…そんな馬鹿な。

私は言葉を失う。

私を嘲笑うかのように、集団のリーダーらしき男が言った。

「これでまた魔女を見つけ出した賞金がタンマリ手に入る」

「……!!」

それで全てを悟った。

こいつは…こいつらは…。

相手が魔女だろうが魔女でなかろうが、どうでもいいんだ。

肝心なのは『魔女を引きずり出す事』。

それが『魔女なのか人間なのか』は関係なかったのだ。

< 52 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop