魔女の瞳
そこから先は、会話はなかった。

ホムンクルスが潜んでいるであろう、山の中腹の廃工場。

近づくにつれて、その匂いは強くなっていく。

流石の私も緊張は隠せない。

その緊張を肌で感じ取ったのか、修内太の顔も強張っていた。

山の麓に着く頃。

「ねぇ修内太、怖い?」

私は修内太に問いかける。

「帰らないぞ」

私の質問の真意を先読みしたのか、修内太はチグハグな答えを返した。

…膝が震えているのが目に見えてわかる。

不思議だ。

そんなに怖いのに。

一度死にかけて、片目を奪われたのに。

それでも私について来るんだ。

彼も火炙りにされそうになっても、村人を恨まないであげてなんて言うクチかしら。

そこまで考えて、ふと。

「私ったら…」

「え?」

思わず漏れた私の呟きに、修内太が訊き返してきた。

「……………なんでもない」

私は目をそらす。









エリスの時もそうだったけど。

どうしてこういう自己犠牲なんて偽善者じみた考え方をする人間を見ると、私は守ってあげたくなるんだろう…。

小賢しくて卑怯な人間なのに…。

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