新選組恋愛奇譚
「嘘でもなんでもないんです!ホントなんですってば!!私は違う世界から来たんです!!嘘だったら鼻から大根入れるとかでもなんでもしますから!とりあえず話を聞いてくださいっ!」

一生懸命声を張り上げる。

信じてもらえるわけないよね…

でも諦める訳にはいかない。

この歳で死ぬなんてありあない!!

男の振り上げた手が止まる。

「鼻から大根……?」

なんてところに食いつくんだこの男は…

そう思いながら手がとまったことにほっとする。

「そこまで言うなら話を聞いてあげる。で、嘘だとわかり次第鼻から大根をいれてから殺す。」

男がドカッと畳の上にすわる。

「キミ、名前は?」

男が私の顔を覗き込む。

ーこの人ホント綺麗だな…ー

こんな状況にも関わらずそんなことを思ってしまう。

そこらへんのアイドルより全然綺麗だと思う。

「聞いてる?なまえは?」

男の人がイライラした様子でこちらを見る。

「すいません!!綾戸莉子です!」

頭を下げる。

「ふーん、リコっていうんだ。僕は沖田総司。まあよろしく。」

「沖田総司さんですか…って沖田総司!?」

ビックリしすぎて思わず飛び上がる。

「沖田総司だけど、なに?」

着物にこの顔に刀の名人…

しかも名前は沖田総司。

もしかして………

「すいません、今は何年ですか?」

「文久2年だけど?」

やっぱりね………。うん。

お父様、お母様。

どうやら私は過去の世界に来てしまったようです。
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