花の名は、ダリア

身体中至るトコロから血を噴き出しながら、ギギギと首を鳴らしてソージが振り返る。

目を血走らせて。
ギリリと奥歯を噛みしめて。


「…痛ェじゃねェかぁぁぁ…」


「「「きゃぁぁぁぁぁ!!??
ゾンビィィィィィ!!??」」」


地の底から響くような低音でソージが唸ると、男が発したとは思えない高音ソプラノが、絶妙なハーモニーを奏でた。

って、またゾンビかよ。
今回は前よりマシなビジュアルだろが、コラ。


「なんてコトしやがンだ、このクソ共がぁ!!」


進み出たソージは、もう完全に戦意喪失した兵士たちの間に割って入り、暴れる。

棍棒を振り回し、暴れる。


「ゾンビだって生きてンだ!
痛ェモンは痛ェンだ!
このクソが!クソが!クソが!」


意味不明語を喚きながら、暴れる。

逃げようとするダレかの襟首を片手で取っ捕まえ、逃げようとするダレかに力任せに投げつけ、暴れる。

暴れる、暴れる、暴れる…


「よぉし!クソ共!
かかって来いやぁぁぁ!」


「ソージ…」


「ダリアにこんな痛ェ思いさせようとするヤツぁ、俺が全員膾斬りに…
‥‥‥ん?」

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