花の名は、ダリア

ポチって、聞こえた?

聞こえたよネ?

ソージが電光石火で振り向けば、照明スイッチの下にある、『いかにも!』という赤くまるまるしたボタンに人差し指を乗せたダリア。




「えええええぇぇぇぇぇ‼??」


ガラララララ…

ソージが叫ぶのと同時に、天井から鉄格子が降りてきて…

ガシャーン!

細長い部屋の奥と手前に、二人は分断された。


「おお押したの、ダリア!?
そんなベタなトラップボタン、押しちゃったの!?」


「ごごごめん、ソージ!
だって押したくなるじゃない!?
日本史の教科書に杉田玄白の絵が載ってると、色黒にした挙げ句メガネ足して、ガンジーにしたくなるのと同じじゃない!?」


「いや、わかりますケドも!
選挙ポスターでイイ顔する立候補者の鼻の穴に、画鋲を刺さずにいられないのも同じですケドも!
ソレ、アホな男子小学生のするコトですよ!?」


まさに、小学生の『あったらヤっちゃうあるある』デスネ。
ソーデスネ。

失態にテンパったダリアが、鉄格子を握りしめる。


「待っててね、ソージ。
すぐソッチに行くわ。」


だが…

< 342 / 501 >

この作品をシェア

pagetop