花の名は、ダリア


数少ない住民のほとんどが漁業に従事している、自然豊かな小さな島。

コンビニもない。
TSU○AYAもない。
小型フェリーは一日朝夕二便だけ。

若者の地元離れが問題になっているものの、昔ながらのあたたかな結びつきが息づいている。

そんな小島の海を見下ろす高台に、自己啓発セミナー『使徒の国』の合宿所は建っている。

アヤシィ自己啓発セミナーの施設なんて、建設時に反対されそうなモンだが、海側にある島民の生活圏とはかなり離れているため、今のトコロ目立った問題は発生していないようだ。

山手に用のない島民たちは、坂がキツい高台までの一本道を、ほとんど利用しない。

合宿所の裏は崖。

後ろ暗いコトを企てるには、最高のロケーションと言えるだろう。

部外者に知られるコトなく、なんでも好き放題できそうだもんね。

ぶっちゃけ、サムは危険だ。

人のコトを『狂ってる!』なんてディスってやがったが、アイツのほうこそイカレてる。

だって、目的のためなら、『穢れし者』を大勢の人間にけしかけちゃうンだよ?

喰わせようとするンだよ?

重ねて言うと、その『穢れし者』だって、ヴァンパイアの犠牲になった元・人間なンだよ?

手段選ばなさすぎヤバい。

そんなサムを頂きに据える集団『使徒の国』。

コッチも相当危険だ。

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