花の名は、ダリア

クレセント錠を回して、窓を開け。
ようやく立ち上がったタナカの背を押して外に叩き出し。

カオリは自らも窓枠に片膝を掛けた。


「本当に、ただで済むと思ってるの?」


なんて声が背中に突き刺さるが…


「黙れ、サム!」


中指を立てて豪快に悪態を吐き、夕焼け色に染まった世界に飛び出す。

どっかで聞いたセリフだね。
性格の悪さって、感染すンの?

ソレはさて置き、日が沈むまでもうあまり時間はない。


「タナカ!
携帯持ってンでしょ!?
ココには戻らずフェリー乗り場に集合するよう、みんなに連絡して!」


タナカが原付を駐めた場所に向かって走りながら、カオリは叫んだ。


「でも…
もう今日のフェリーは…」


「任せて!
船のアテならあるから!」


心配そうなタナカを、カオリは自信ありゲに励ますが…

ほんとにアテになるかなぁ?

一抹の不安を抱えながらも、二人が飛び乗った原付はフルスロットルで走り出した。

良いコのみんなは真似しないでね?
立派な道路交通法違反デス。

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