花の名は、ダリア
ナニやってンの?このコ。
茫然とするカオリにダリアが気づき、バッチリ目が合う。
すると、ブォンブォンも鼻唄もピタリと止んだ。
カオリまで約15mという距離で、静かに原付を降りて。
ナニゴトもなかったかのように、元通り横倒しにして。
クルリと身を翻して…
「は!?
ちょっと待って!?」
脱兎の如く駆け出したダリアの背に向かって、カオリは手を伸ばした。
逃すものかと、追いかけてはみるケド…
速ェェェェェ!?
さっきの妖精追いかけっこと、スピードが全然違うじゃん!?
見る見る離される。
見る見る遠ざかる。
どうしよう、どうしよう。
見失ってしまう…
と、ココでまさかのアクシデント!
「きゃ!?」
ベチャっ
焦燥に駆られるカオリの遥か前方で、ダリアが派手にスっ転んだ。
木の根にでも躓いたのかも知れない。
コレはチャーンス!
カオリは理系のもやしっコらしからぬ全力疾走を披露し、両手を地面に着いて上半身を起こすダリアに追いついた。