月のうさぎ~寒がりな天使~
俺の心の中には、同時に嬉しさと悲しさが襲ってきた。
「好きに・・・なれよ。」
ここで告白したいと思ったが、できればもう少しいい場所で告白したいと思ってやめた。
夜景の見えるレストランとか、遊園地の観覧車とか。
「だめなんだ。私、誰とも付き合う気、ないんだ。だから、好きなっちゃだめなの。」
俺の制止を振り切って、有希子は自動ドアの向こう側へ消えて行った。
追いかけることもできなかった。
真剣な声で、とても悲しい顔をしていた。
言葉が足りないよ。
それだけじゃ、俺わかんないよ。
何が言いたいのか。
どういう意味なのか、俺はどうすればいいのか、いくら考えてもわからないよ。