君の一番になりたくて
嫉妬と独占欲。
季節は流れ、
衣替えの時期がやってきた。
まだ夏には遠い六月。
最近は地球温暖化がちょっとあれみたいで、すでに猛暑だ。
しかも六月ってのは更に湿度も高いんだからタチが悪い。
梅雨の湿気の多いこの季節は、気圧が低くなる所為か、体調が崩れやすい。
頭痛持ちの人にとっては最悪の時期で、まさにそれに当てはまる俺にとっては生き地獄だ。


「あー・・・きっつ。」
「大丈夫ですか、ハル先輩。」
「これが大丈夫に見えるかー・・・。」
「見えませんけど・・・。」


玲が「どうしよう。」と慌てている。
俺の事で悩んでくれるのはありがたいが、今は頭痛が酷いからそれどころではない。


「ハル先輩。」
「ん?」
「私にできることってありますか。」
「・・・いや、とくには。」
「ですよね・・・。」


はぁ、とため息を吐いて、
口をとがらせる玲。可愛い。
・・・小動物的な意味で。








「あ、そうだ。」

「ん?」


「どうした?」と言うと、
玲は嬉しそうに俺の方を見て笑った。





「私、お友達ができました!」

「・・・は?」


嬉しそうに告げられたその報告は、頭が痛かったのを忘れさせるほどの衝撃だった。
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