褐色のあなたに水色のキミ
仕事を終えて、慌てることもなく、職場を後にする。表玄関から出ず、あえて裏口から出た。


土佐堀川沿いにぶらぶらと歩く。特にあてはない。プラネタリウムがある市立科学館が見える。入館するつもりはないが、近くまで行ってみる。


例えば休日に、一緒にプラネタリウムを見て、おしゃべりしながらぶらぶらと堂島まで歩いて、おしゃれなお店でランチをして、またおしゃべりしながら梅田まで歩いて、HEPの観覧車に乗って。


個室で2人っきりになって、なんとなく気まずくて、無口になって…。彼からのアクションを待つけれど、結局、なんにもないまま、観覧車は下に到着してしまう…。


ケータイ小説の読み過ぎかな?そんなドキドキするような恋に憧れる。


不倫なんて、身体を重ねるだけで、心が重なることはない…。


ひとりになると冷静になれるのに、一誠さんの顔を見ると、ほんの少しの可能性を、心のどこかで信じてやまない。








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