薬指の約束
涙は出ない。
いつもなら詩織に電話するけど、まだ入試が終わっていない詩織に迷惑かけたくない。


大嫌いって言っちゃった。
でも、そんなことするゆやはほんとに嫌だ。ゆやは、友達大事にする人なのに。

ゆやなら分かってくれると思ってた。
なのに、良樹のところに行けって。私の存在なんて、ゆやにとってはそんな小さいものだったんだね。


私、もう無理だよ…


~♪~~♪

《ふうか、さっきはごめん。》

ゆや…。

《なんのごめんなの?》

《俺、良樹のところに行けなんて、ほんとは思ってない》

分かってくれない。

《そんなことじゃないよ。ふう、もう無理だよ》

《無理って何が??ふう、どうしたの?》

《もう、ふうと別れてください》

言っちゃった。
私だって大好きだよ。ゆやのこと、すごく大切なの。
だからこそ、今のゆやが許せない。
だからこそ、今のゆやと離れたい。

《俺別れたくない。ふうのこと諦められないよ》

《ふうも好きだよ。でも今のゆやとは付き合えない。》

《別れても、ふうに嫌われても、俺はふうが好きだよ》

《うん、私もゆやがずっと好き。だけど、さよなら。》


窓から星空が見えた。

ゆや、大好きだよ。





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