昼下がりの風は君のために吹く
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―暑い。世界は僕が中心に回っているのか。いや、もしかしたら自分を沈勇の士とでも想い込んでいるのかもしれない……。辛い、本当に辛い……!もう自分が叫んでも、人は死んでいるのだ。
 
自分は、なぜここにいるのか。
 
影ばかりが目についた結果、僕の視神経は機能していない。
バラの香りがしたと思えば、隣からは人が腐乱した臭いがする。
見たくない、聞きたくない、そんなことを言っても入ってくる。影が気になる。
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