昼下がりの風は君のために吹く
教室には誰もいなかった。静寂の中で教室に自分の鞄を置く音が響き渡る。校舎、町全体に響き渡る気がした。どこへ逃げようかと考える。自分には逃げ場所なんてない。むしろ逃げ場所があったって、そもそもプライドが許さないのだ。スクールカーストの上位のヤツが僕と同じ価値観を持っていたら、受け入れられるかもしれない。しかし、自分が持つと単なる屁理屈になるのだ。
 
自分ももう死んでいるのだ
さっきまで君と話していた。
楽しくないふりをしていたけど、楽しかった。
自分の立場に気づくのが遅かったのだ。
 
……誰もいない。鞄を床に落としおもいっきり蹴る。鞄に頭を埋めると、目の辺りから鞄が濡れ始める。

自分がI am right.と叫んだところで、それを聞くヤツはいない。そもそも叫べやしないのだ。

変わらなきゃ。
変わるって決めた。
でもできなかった。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop