星降る夜に。
「金曜日なら…」


「分かった。それならあとで俺のアドレスに連絡して。詳しいことはそのときに。分かってると思うけど、今度はちゃんと連絡してくれよ。時間はいつでもいいから」



大輔さんは優しい眼差しで私を見つめたあと頭をそっと撫でて、「じゃあな」と言って会社から目と鼻の先にあるパーキングに向かって歩き出した。

社用車っぽい、白い塗装の軽自動車。



これ以上、大輔さんに関わりたくない。だけど一緒に食事に行きたい気持ちもある。



大輔さんの背中を見送って会社に戻ろうとしたとき、彼が踵を返して小走りに走ってきた。

手には細長いケース。ネックレスを貰ったときと同じ箱だった。それから、とても小さな箱。



「こっちの小さな箱はピアス。細長いほうはアンクレット。そのネックレスと同じデザイン。会うときにつけてきて」


「あの約束、憶えてたの?」


ピアスと指輪も作ると言っていて、私は思わず「欲しい」と言った。そのことを忘れずにいてくれたんだ…。
指輪ではなく、アンクレットになってしまったけれど。

「莉子のことは全部憶えてる」


大きくて優しい手が私の頭を撫でて、それからそっと額にキスをされた。
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