星降る夜に。
「ごめんなさい。私、帰るから。仕事に戻って」


「莉子、待てって」



名前を呼ばれただけで嬉しいなんて、どうかしてる。
それだけで満足出来るなんて。



「せっかく自由な時間なんだろう?男は旅行?」


「うん…。来週の土曜日まで」


「男もいない、邪魔な指輪もしてない。帰すのはもったいないだろ。莉子、オシャレしてるしドキッとした。印象が違くて」


「変?」



大輔さんは私を愛しそうに見てくれる。

抱かれたときも、こんな表情を見せてくれたっけ。


「綺麗だよ」


「ありがとう。私、嫌われたと思ってた。そのほうがいいんだけど…。連絡もなかったし、さっきも私のほうは向いてくれないし…」



大輔さんは苦笑しながらため息をつく。


「相手の男、金持ちなんだろ?横村が高城出版の跡取りだって言ってた。敵わねーし、実際に並んでるところを見て、やっぱダメージ受けた。俺は金もないし、この店を立ち上げたときの横村との共同の借金も残ってる。何も勝てないって分かって、情けなくて…連絡出来なかった。ごめん」
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