星降る夜に。
姉は私の左手を掴むと薬指から指輪を抜いて、自分のバッグの中に入れてしまった。

大輔さんは目をパチクリさせている。

私だってこの状況が呑み込めない。




「莉子、自由な時間があるんだから素直になりなさい。吉岡さん、莉子はこの通りの性格で素直になれません。でも本当はあなたのことを大切に思ってますから。よろしくお願いしますね」



「ママー、この人と莉子ちゃんは友達なの?」



由衣は大輔さんを精一杯、見上げていた。



「うーん、王子様ってところかしら?莉子はシンデレラ」


「シンデレラ?何で?莉子ちゃん、誠くんと結婚するんでしょ?」


「そうよぉ。でもね、そこは色々あるのよ。吉岡さん、莉子は自由ですよ。今だけ、ね」



姉はそう言うと私の肩をポンと叩いた。
さっさと車に乗り込んで、窓から手を出してヒラヒラと振ると車を発進させた。



私のことを置いていくなんて…。
しかも指輪も持って行かれた…。

何が何だか整理がつかなくて呆然としていると、大輔さんが笑い出した。



「莉子の姉ちゃん、つえーな。夜まで帰さないでくれって、俺はまだ仕事中なんだけど」
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