ためらうよりも、早く。
「それを見越して?」
「面倒だから先延ばしにしたくないし。一石二鳥でしょう?」
支社長と会うのは私のみだが、福岡支社とその近辺の店舗の視察を目的に、担当のPRとMDらも博多まで一緒に向かう。
その結果を踏まえた会議を明朝に行うので、今夜便で東京までとんぼ返りになるけれど、国内外の往来は日常茶飯事ゆえに全く問題ない。
「さすが社長。柚希さん扱うのもお手の物だ」
「血は争えないわね」
くくっと小さく笑う男の傍らで面倒くさそうに言って、はたと気づく。うっかり尭の発言に肯定していた自分が、ほんのり悔しい。
――仕事や利潤に関しては、ことさらNOと言わないという性質をこの男もまた知っているから。
足をぶらんぶらんと揺らしながらハイヒールを眺めていると、「それに」と重ねた尭の方へと視線を移した。
「忠頼さんの態度。あれは結婚のこと諦めてませんよ。——良いんですか?」