ためらうよりも、早く。
不意の登場により、動揺に負けた思考回路はまだ正常に戻らない。
そんな私を見据える双眸は、今宵の闇夜に近い真っ黒な色をしていた。
「で、他に聞きたいことはある?質問には何でも答えるし、教えてあげるよ?
——人の話を最後まで聞くつもりならね」
デスクの隅に腰を下ろすと、視線を泳がせる私の顔を覗き込んで酷薄な笑みを浮かべた。
鋭い眼差しは昨日、垣間見せたアレと同じ。それを目の当たりにして、ひやり、と背中に冷たいものが走った。
それでも眉根を寄せて睨むことが出来たのは、なけなしのプライドの賜物だろう。
「……嫌味を言うために、わざわざこんな時間に会社までお越し下さったのでしょうか?」
「言うなれば、仕返しかな」