ためらうよりも、早く。
こちらを窺いながら語る男は、自信なさげに眉を下げている。こんな祐史、今まで見たことがあったかしら?
しかし、いくら振り返ってみても辿り着けず。泣きながらいる私の方がよほど冷静かもしれない。
「しかし、それもまた間違いだったのです。
誤摩化そうとすればするほど、くすぶり続ける感情に火がつきかけることもしばしば。
その鎮火のために、欲を吐き捨てていました。まさに悪循環ですね。
そんな男に対し、心に言い聞かせている時点で間抜けだと叱咤と教授してくれたのは、お騒がせな昔馴染みの仲間でした。
別れから十数年も経て、まだ彼女が独身であったことは奇跡ですが、あ、嫌味じゃないです悪しからず。睨まないで下さい。
今になって猛省しているバカな男は、慌てて彼女に結婚すると伝えに行きましたが、時すでに遅し。
そうです。ここでもバカな男は、焦る余り先走ったがゆえに言葉足らず。
さらに腑抜けな男の浅薄さによって、再び彼女を傷つけてしまいました。
何度も会って弁明しようと試みますが、その場になると本意がまったく伝わらず。……今度こそ逃げられそうです。——おしまい」
低い声でゆったりと紡がれた長い昔話も、ようやく結末を迎えた。
昔馴染みである私たちのこれまでを語り尽くした絵巻物。
それは長い時を要しているにもかかわらず、登場人物の少なさと中身の薄さが際立っていた。