ためらうよりも、早く。


そうして提供された品は、澄みきった空のように爽やかなブルー色のカクテルだった。

「……これは?」


グラスの中の色鮮やかな液体は小さな気泡が立ち、早く口をつけてと言わんばかりに主張する。


その様は目を楽しませてくれるが、心とはまるで正反対。私は堪らず、煌くんに問いかけていた。


「スカイフィズっていってね、ウォッカベースなんだ。たまには違うのも楽しんで欲しいなって。
——ロックが欲しくなったら声かけてね?年代物のマッカラン入手してるからオススメ」

「ええ、ありがとう」

「どうぞごゆっくり」

いつもならば、煌くんは客の前に留まって、暫し穏やかで軽快なトークをして癒してくれる。


けれども、今日は違う。カクテルのあとで私の定番、フルーツの盛り合わせ(私バージョン)を脇に置いたのち、優しい笑顔を見せて静かに離れてしまった。


お皿に盛られたフルーツは、旬の山形産のさくらんぼに疲れ目に効くブルーベリー、それと定番のうさぎ形のりんご。


お酒には甘いものがよく合う。チョコも良いけれど、個人的には瑞々しい季節のフルーツとお酒の組み合わせをこよなく愛してる。


これらが今の私に必要なものだったらしい。ヘルプを求めた先がこの店で正しかった、と今日ほど煌くんに感謝したことはないわ。


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