ためらうよりも、早く。
心底苛立ったとしても、声は常にスマイルスマイル。
そう、すべては本心が電話相手に見えなければ良い。
弾んだ声で無表情に電話中。それはつまり、この部屋に誰もいないことを示している。現在の顔は声音と真逆。自分で恐ろしくなるほど無表情だ。
“表情と声は直結しているので笑顔で電話応対しましょう”
学生時代にマナー講習で教わったが、私の場合はそうでもない。
基本的に冷めた性格だからか、作り笑いをしているとひどく疲れてしまう。
とはいえ、社会人としてよろしい態度でないのは百も承知。
なので、時と場合をきちんと弁えている。これぞ省エネではないか?……私は風船男みたいに、無駄な笑顔の安売りはお断りだ。