ためらうよりも、早く。
ずっとエスカレーター式の学校だったこともあり、学友には私と同じように役員や社長として第一線で活躍する人も多い。
しかし、親の経営する企業に入らず、会社員として働く人も一定数いる。
夢を追うためにあえてその道を選ばなかった人を除けば、大抵は本人がその重圧を受け止められなかった、もしくは商才がないため親が認めなかったかのどちらか。
我が家の場合、父が早々に妹には経営の才覚がないと判断し、一般社員として社の戦力になることを望んでいた。
もちろん入社を強要したのではなく、のん自身がアパレルの仕事が好きだと選んだまで。……口うるさい父だが、その点は柔軟だったりする。
でも、それで本当に良かったと思う。活き活き、のびのびと仕事するのんを見かけると、やはり姉として嬉しい。
接客にはピカイチの才能があるから、今の環境は彼女の能力を最大限に発揮出来るフィールドだもの。……尭にとっても、結果オーライとなったしね?
ちなみに私は母に性格が似ていたためか、早くから跡継ぎになって欲しいと言われて育った。
当時は将来についての明言をのらりくらりとかわし、“人並み”に大学生活を楽しんでいたのだけども。
その頃に読者モデルを少しだけ経験し、プロの仕事を肌で体感したことがこの道を志す大きなきっかけとなった。