ためらうよりも、早く。


仄暗いラウンジに響く、穏やかさの中に隠れたセクシーな声。


「絢(ジュン)!遅れてごめんなさい」

そんな相手の元に近づきながら、微笑で遅刻の非礼を詫びた。


「まさか。忙しい君を無理に誘ったのは僕の方だよ」

謝罪をすれば案の定、たおやかな笑みであっさりと制するスーツ姿の男。


柔らかそうなブロンドの髪に澄んだグリーンの瞳、高い鼻梁と薄い唇と、いつ見てもその美しさには惚れ惚れする。


「会えて嬉しい」と言い、両頬にキスを落としていく彼に笑う。……唇は公衆の面前で避けてくれるようになったのね、と。


「ありがとう。私もよ」と告げて、両頬へのキスをして同じく挨拶した。


そうして私は、彼にエスコートされながらひとつの個室へと案内される。


個室といっても、布で閉ざされただけの簡易空間。だが、これが特別感を誘うのだろう。


そこには丸テーブルと2人掛けのソファが対面に設置されている。さらに小さな窓があって夜景も見えるのだが、上客にはどうでもよい代物とか。


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