ためらうよりも、早く。
ちなみに尭(アキ)は幼馴染みであり、ウチの会社で私やのんと一緒に働いている間柄。
「あ、尭くーん!……バレたの!どうするの!?
――ちっ、違うよーーー!ゆっ、柚ちゃんだもん!」
スマホを片手に発狂しつつ、恨めしそうな視線は私に向けてくるのん。
これ以上は余計なさざなみを立てないように、にっこり笑みを返しておく。
電話相手の尭にとっても、朝から開口一番の威力はダイナマイト級だったことだろう。
とはいえ、そこで本性が現れる。——ダイナマイトを爆発させるか、自身の手中に収めてしまうか否か。
妹の反応からしても、やはりドS男は一大事を逆手にとって彼女を甚振っているようだ。
彼は社内でも評判の高い男ゆえ、のんが彼と付き合い始めた途端、父は後釜が出来て会社は安泰だと言って憚らず、二人に早く結婚をしろと猛烈プッシュしていたクセに。
——いざ妊娠もプラスしてご所望の状況を突きつけた途端、逃げ腰になるって一体どういうことよ?