ためらうよりも、早く。
そこで立ち上がった私は、ソファで俯く彼女の隣りへと静かに腰を下ろすことにした。
L字型で布張り海外製のソファは、疲れきった時にそのまま眠れる大きさがお気に入り。
姉の失態に嫌気がさしたのだろうと、「のん」と呼んで肩に手を置いた瞬間。
「ごめん」
「え?」
「……ずっと、言いたかったから」
「何のことかしら?」
たったひと言の謝罪の意味はよく分かっていた。それなのに口から咄嗟に出たのは、じつに淡々とした問い掛けだった。
そこで肩に置いていた手を離すと、勢いよく顔を上げた彼女と目が合う。
泣き腫らした目は幾分重く感じたが、私は瞬きするのも忘れていた。
どんぐりのような双眸が真っ直ぐにこちらを捉えて離さず、小さな口がゆっくり紡いだ。
「ゆーくんのこと」と、ことさらシンプルな答えを。