ためらうよりも、早く。
何を言っているかよく分かる。悲しそうな妹の本音を目の当たりにし、正直に頷いた。……私たちの間に生じていた薄い氷壁について。
「貴女のマンションのこと?プライベート空間には」
「うそ!私がふしだたらだったからでしょ?」
実家に戻ってきた彼女が最近まで住んでいたのは、私が所有する分譲マンションのひとつ。
かつて、それまで住んでいたそこから別の新築に引っ越す際、一人暮らしをしたいと言う彼女に勧めたのがきっかけ。
家主的には管理の手間が省けるし、のんからすると通勤が楽でセキュリティも万全。
分譲賃貸にするより、何かと危なっかしい妹が住む方が家族も安心するのよね、と。
「いいえ、違うわ。のんがふしだらだったら、セフレのいる私はどうなの?」
「尭くんとゆーくんの間で、ふらふらしてたんだもん。私はふしだらなの!」
「そんなことないわ」
いくら否定してみても、水掛け論。——のんは、やっぱり父にそっくりだわ。
「何回誘っても、家の外か実家(ここ)でしか会ってくれなかったのに!?
柚ちゃんの態度がおかしかったことも、本当は気づいてたの。……だから、尭くんにお願いして、結婚前にどうしても柚ちゃんと仲直りしたかったの……。気遣わせて、傷つけてごめんね?」