ためらうよりも、早く。


「ちょっと待って。私は傷ついてないわ」


フルフルと頭を言って聞く耳を持たず。でも、今までそんなに気遣わせていたとも知らず、共に生活していた私はどうしようもないバカね。



「のん、聞いて。恋愛は綺麗ごとじゃ済まないことの方が多いわ。人生だって同じじゃない。
貴女は自分で幸せを勝ち取ったんだから、何もやましいことはないし、後ろめたく思う必要もない。もちろん気に病むこともないの。
現に、もうひとりの“該当者”は、シャボン玉から風船に進化したじゃないの。違う?
これでも、“ダメンズ・ハンター”なんて呼ばれていた妹を優しいお姉さまは心配してたんだから」


当時を顧みるようにふふっと笑えば、「ゆずちゃ、」と震えた声が返ってきた。


「それに、私のようにならなくて良かったわ。……身体だけ満たされても、恋愛とはいえない。
私にとってセックスは、ストレス解消のツールに過ぎないの。これは個人的にね。
でも、どれだけ男と交わっても、根底から満たしてくれる男でなきゃセックスする意味がない。
はしたない姉にそう教えてくれたのは望未よ。——いま尭と幸せそうで、本当に嬉しいんだから」


宥めるように口にした本音。そう、これが言えるまでに2年も掛かってしまったのだ。


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