ためらうよりも、早く。
「……柚ちゃんは、どうして嘘つくの?」
てっきり泣くかと思ったら、目から溢れそうな涙をごしごし拭いてこちらに強い眼差しで尋ねてきた。
「あら、優しいお姉さまを嘘つき呼ばわり?」
「知ってるんだよ。マンションから戻ってきた時に、セフレはほとんど清算してたって」
「あー……。残念ながら、たまたま引っ越しと時期が重なっただけよ。
あの頃は今より出張が多かったでしょ?おまけにスペインの国内情勢に飛び火してオフィスも揉めていて、さすがに私も男(セックス)に割く余裕がなかったの。
だから、清算じゃなくて自分の欲と見合う状態に切り替えたって言うのが正しいわね」
ちなみに移り住んだマンションは現在、賃貸に回して貰っている。私がこうして実家に戻ってきたのは、1年ほど前のこと。
事実をサラリと告げたものの、「うそ!」と頑として譲る気配のない強情な子に嘆息する。
こうなると、父以上にしつこいのだ。自称・いらちな女にとって、この時間は苦行に等しい。
「ああ分かったわ。優しいお姉さまは嘘つきよね。そうよね。
——最後のひとりに、さっきフラレたばかりよ。情けないことに相手に気を使わせてね」
言い包めるつもりが、現状を差し出しホールドアップするなんてどうかしてる。