Mr. Unknown
 このままじゃその夜中に仕返しされて、

 殺されると私は思っていたんだ。

 
 例え腕っぷしが強くても、銃が上手くなきゃ殺される。

 
 それがあの時代だった。

 
 でも彼はそんな事とっくに分かっていたんだろうね。

 
 ポケットからコインをおもむろに取りだしてビルに向かって投げたんだ。

 
 
 それを彼は見事に撃ち抜いたんだよ!

 
 コインはビルの真横を飛び抜けて行ったんだ。


「迷惑賃だ」

 
 誰もが目を疑っただろうね。

 
 あんな技は誰も見た事なんて無かったから。


 殴られた男達はそれまで復讐するのは命がけになるだろうって思ってただろうね。



 でも彼は命を掛けても勝ち目は薄いぞって警告したのさ。


 実際、彼以上のガンマンなんてこの街にはいやしなかったんだ。


 さっきまで息巻いていた男どもは嗚咽を漏らしていた。


 なんでこんな男どもに私は恐れていたんだろうって、

 そん時に気づいたのさ。
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