手の届かないキミと


おい、しっかりしろ

とハルくんの声がした気がする。


抱き起されて、額に何か冷たいものを当てられて。


それから、

それから……



「古畑、」


ハルくんに名前を呼ばれた気がして、重い瞼をゆっくりと開けた。

かすむ視界のなかに、ハルくんが見える。

目を凝らしてみると、…やっぱりハルくんがそこにいる。


「ほら、新しい水買ってきたから。」

そう言って彼は、私の頬にペットボトルの水を当てた。

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