恋のカルテ

「……携帯、教えて」

「はい。いいですよ」

「明日も、弁当作って」

「いいですよ」

「抱きしめさせて」

「いいです……え」

先生は私に手を伸ばすとギュッと抱き寄せた。

「……あの、先生」

離れようとする私を先生は自分の胸に押し付ける。

「いいから、黙って。少しだけこのままでいてくれ」

つけっぱなしになっていたテレビからは今日の事故のニュースが流れていた。

重軽傷者は30数名にもおよび、近隣の病院で治療を受けている段階だが、奇跡的に死者は出ていない。アナウンサーはそう嬉しそうにいっている。


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