恋のカルテ
招き入れられたリビングのソファーに向かい合う様に座った。
「で、話って言うのは?」
「はい、実はですね」
私は今日山田さんと話した内容を五十嵐先生に伝える。
いつも穏やかな先生の表情が徐々に険しくなっていく。もしかしたら、すごく怒っているのかもしれない。
どうしよう。
私の手のひらには汗が滲んで、勝手に声が震えた。
「報告が遅れて、大変申し訳ございませんでした」
どうにか全て話し終えると、私は五十嵐先生に頭を下げる。
「……とても残念だよ、高原くん」
暗く沈んだ声が、頭の上から降ってくる。
「はい、先生がそうおっしゃるのもムリもありません」
怖くて、下げた頭が挙げられない。自分のしたことの後悔が重くのしかかる。もう泣きそうだ。
「……首にだけはしないでください。お願いします」
必死で絞り出した声に応えたのは、なぜか豪快な笑い声。
不思議に思って顔を上げると、そこにはいつもの五十嵐先生の笑顔があった。