恋のカルテ
「……これ、見てもいいですか?」
「いいよ。いつだったか駐車場まで追いかけていたMRから渡されたんだ。突然前の担当者と交代になったらしくて、大変だって言ってたな。必死なんだろう。まあ、オレには関係ない話だけど」
「そうなんですか」
思った通り、中には圭人の名刺が入ってた。
先生は圭人に会っていた。お互いに何も知らないとはいえ、二人が顔を合わせたとなればあまりいい気持はしない。
途端に胸が苦しくなって、治ったはずの頬がしくしくと痛みだす。
「どうかした?」
「いえ、なんでもありません……」
「まあ、MRも大変だよな。オレみたいな下っ端にもペコペコしなきゃならないんだからさ。でもあれか、先行投資っていうか偉くなったらよろしくねってことか」
「そう、なんですかね」
「あの勢いだと、研修医にまで挨拶しに行きそうだったけどな」
「……まさか」
研修医にまで挨拶はないにしても、今日の今日まで圭人と院内で鉢合わせしなかったことは、奇跡だったのかもしれない。