恋のカルテ
「先生、電話です」
「……分かってる」
最初は無視をしていた先生も、延々と鳴り続ける電話に根負けしたのだろう。
やれやれと言った様子でポケットからスマホを取り出した。
「……もしかして、病院からですか?」
「いや、そうじゃない。ごめん、出てもいい?」
「もちろんです」
先生は立ち上がり、私から少し離れる形でその電話に出た。話し始めると先生の表情は険しくなっていく。
何かよくない知らせだろうか?
電話を切った先生は苦悩の表情を浮かべて、大きなため息を吐いた。
「……継母からだった」
「お継母さまから?」
「そう。……父が、倒れたそうだ」
「お父様が?」
驚いた私は、先生に駆け寄った。
「容態は?」
「それがよくわからないんだ。継母も気が動転しているんだろう。悪いが、今から病院へ行く。加恋も一緒にきて」
先生は私の手を引いて車に乗り込むと、エンジンを掛けた。