恋のカルテ

「……ああ、ここだ」

先生はいちばん奥の部屋の前で足を止め、重厚な木製のドアをノックする。

すると中から「どうぞ」と女性の声がした。

お継母様の声だろうか。急に会うのが怖くなり、ドアノブに手を掛けた先生の手を握った。

「私、ここで待ってます」

「いいから、入って」

先生に背中を押されて中に入ると、広い病室には応接セットと大きなベッドが置かれていて、その上には年配の男性が眠っていた。

そしてその横にはスーツ姿の女性と、二十歳くらいの男性が心配そうな表情で立っている。

「遅くなりました、お継母さん」

「ほんと、遅かったわね、朝陽さん。……そちらの方は?」

お継母様の視線が私に向けられた。つま先から頭のてっぺんまでじろじろと見られて、まるで品定めでもされているようだ。

「同じ病院で働いている高原加恋さん」

「はじめまして。高原です」

「加恋、継母と弟の佑樹」

先生は言って、お父様の所に歩み寄る。

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