恋のカルテ

「心筋梗塞だったそうですね。これで二度目。父も年ですから、そろそろ無理が利かなくなってきたんでしょう」

「それは私が無理をさせているということかしら? だから朝陽さんには何度も家に戻ってきなさいと言っているでしょう」

「いいえ。オレは麻生の人間ではありませんので。……そのうち佑樹が頑張ってくれますよ」

「お父様が大変なときに助けようともしないなんて。恩知らずもいいところだわ。どうやって大きくなったと思ってるのかしら?」

「恩は感じてますよ、金だけは掛けてくださったじゃないですか」

「まあ。なんですって!」 

お継母様が、佐伯先生をすごい形相で睨んだ。険悪なムードに息をするのも憚られる。

「やめなよ、二人とも」

そんな二人の間に割って入ったのは、弟の佑樹君だった。

「親父の前で言い争いなんて。……僕、なにか飲み物でも買ってこよう。行こう、お姉さん」

「え、あの」

「いいから、行こう」

佑樹くんは私の手を引くと、病室を飛び出した。

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